日本流「スモール・ジャイアンツ」をつくろう!-第三回サロンのご報告

東京にて第三回サロン開催!

2015年11月6日(金)、東京にてスモール・ジャイアンツ・ジャパンの第三回サロンを開催しました。

今回は、私が、米国で発祥した「スモール・ジャイアンツ」のムーブメントについてお話したほか、「窓をつうじて社会に貢献する」を理念のひとつに掲げ窓ガラスの卸売り事業を営んでおられるマテックス株式会社の代表取締役社長、松本浩志氏に、同社における理念浸透/企業文化育成の取り組みについてお話しいただきました。

マテックスは昭和3年創業の老舗。3代目の松本浩志氏が2007年に事業を継承した際に、新しい節目として理念を成文化したことが現在の活動の発端になっているといいます。

「理念は80年間をかけて先人が培ってきた精神。でも経営者の『独り相撲』では始まらない。皆で共有して、社内に浸透させるために、コア・パーパス(会社の存在意義)やコア・バリュー(価値観)を定めました」

 

マテックスの理念とコアバリュー

 

「企業文化・コア・バリューを楽しむ」企画の数々

マテックスのすごいところは、コア・バリューを日々の考え方や行動に反映させるために、実にバラエティに富んだ、数多くのことを実践している点です。

例えば採用では、社長である松本さん自ら、マテックスの理念や文化について学生を対象にセミナーを行っているそうです。そこには、現場で働いている社員さんたちにも参加してもらって、単にトップが「思いを伝える」だけではなく、社内の「生の声」を聞いてもらえるよう配慮しているそうです。その結果、理念やコア・パーパス、コア・バリューなど「思い」を共有できる人たちの集まりになってきているとか。

また、そういった会社の「制度」だけではなく、毎年のように新しい趣向を凝らした「イベント」を実施して、会社の文化をみんなが楽しみながら育んでいけるよう努めています。例えば、有志社員が、自分の好きなコア・バリューを選び、それを日々の仕事に関連づけて語る「コア・バリュー・スピーチ・リレー」。また、「マテックス・ライブ」という昨年のイベントでは、各コア・バリューについて社員全員が模造紙にそれぞれの思いをつづるというワークショップを行いました。社内から35のチームが出場して、理念に関するショート・ムービーを制作・披露した「アカデミー賞を狙え!」、そして、「業界で一番かっこいいユニフォームを着よう!」と題したデザイン企画など、みんなで文化を育てること/仕事を楽しむための様々な創意工夫があるなあと感服しました。

また、最近では、社員が中心になって企画・運営するイベントへの取り組みも始まっているということで、「コア・バリューを楽しむ夕べ」という会合を各営業所で行っているそうです。これは、「社長ヌキ」ということで、各営業所で、コア・バリューに則った「よい仕事」「よい行い」を社員さんたちで発表・共有し合っているということです。

 

個人よりは、周りを変える努力を

「こんなにたくさんのイベントをやっていると、ついてこられない、あるいは身の入らない人も出てくるのでは・・・?」という質問に対する松本さんの回答が印象的でした。

「現実には、社員の100パーセントが全力で賛同してくれる、というわけにはいかないですね。もちろん、あまり乗り気でない/協力的でない人も中にはいるのですが、その『人』を問題視して、無理やりに変えさせなくては・・・、などというような極端な考え方には走らないように気をつけています。むしろ、周りを変える。ネガティブ意識を呑み込んでしまうくらいの『周り』を作ればいいと思っています」

人を評価する際にも、「私(トップ経営者)」と「彼/彼女」ではなく、「周り(同僚)がどう考えているか」が重要だということも話しておられました。周りが「あの人は困る」と声を上げるようになれば、それが自然と組織の文化や価値観を強化する力になるということですね。これがアメリカだと、「企業文化に非協力的な行動がある人には注意・勧告をして改めさせる」ということになるのですが、「和を重んじる」日本の文化ならではの考え方・やり方だなあと、私もとても勉強になりました。

経営者間のこうした交流や意見交換を通して、日本流の「スモール・ジャイアンツ」ムーブメントを築き、日本のビジネス界をより元気にすることに少しでも貢献していきたいですね。皆さん、今後とも、「スモール・ジャイアンツ・ジャパン」をよろしくお願いします!