企業文化とは

企業文化は、目に見えそうで見えないもの。つかみどころのないものという印象があります。しかし、それでいて、企業文化は企業が長期的な繁栄を目指すうえで最も重要な経営要素のひとつと言っても過言ではありません。
ダイナ・サーチでは、企業文化を「企業内の大多数によって共有される価値観」と定義しています。その「価値観」が形となってオフィス内の環境や従業員の服装に表れるばかりではなく、判断の基準となって言動に影響を与えます。ですから、企業が進みたい方向性や事業フォーカスのサポートとなる企業文化を育むことが必要なのです。
ダイナ・サーチが提唱する「コア・バリュー経営」では、企業文化の基盤として、まず、「コア・パーパス」と「コア・バリュー」を定義します。「コア・パーパス」は直訳すると「中核となる目的」ですが、企業が何のために存在しているのか/どんな価値を社会に提供しているのか(「企業の社会的存在意義」)を、「コア・バリュー」は文字通り、「中核となる価値観」を指し示すものです。
共通の価値観(コア・バリュー)に基づく判断や言動を習慣づける仕組みを会社ぐるみで遂行していくことによって、理想の企業文化、戦略的な企業文化を構築することができる、というのが「コア・バリュー経営」の考え方です。

以下に、事業目的やフォーカスをサポートする企業文化を確立し、成果を上げている会社の事例をいくつか挙げてみました。

【事例1:エアビーアンドビー】

サンフランシスコに本社を置き、「空き部屋のマーケットプレイス」をグローバル展開するエアビーアンドビーは、その画期的なビジネス・モデルのみならず、卓越した企業文化でも知られています。
エアビーアンドビーの創設者兼CEOであるブライアン・チェスキーは、シリコンバレーのカリスマ投資家であるピーター・ティールから投資を受ける際に、会社の長期的繁栄を目指すためのアドバイスを求めたところ、「企業文化をぶち壊すな」と言われたというのはあまりにも有名な話です。エアビーアンドビーはブライアン・チェスキーを中心にその後忠実に企業文化の確立と維持に力を入れ、今ではシリコンバレーでも最も優れた企業文化をもつ会社のひとつとして高い評価を得るようになりました。。
コア・パーパス/企業使命として「Belong Anywhere/誰もが居場所を感じられる世界をつくる」を掲げ、それを中心に企業文化が形作られているのがエアビーアンドビーの特徴です。例えばコア・バリュー(社員が共有する価値観)のひとつに掲げられている「ホストらしく」ですが、単に「会社」が「顧客」に対して「ホストらしく振舞う」というのではなく、社内の同僚同士の関係を含み、会社を取り巻くコミュニティを構成するすべての人たちに対する「ホスト(おもてなし)精神」が徹底されているのです。。
たとえば、世界各地でコンタクトセンターを運営し、空き部屋の提供者(ホスト)や宿泊客(ゲスト)が24時間いつでも相談できるようにしています。トラブルの発生時など、直ちに問題を解決したり、必要とあらば代わりの部屋を斡旋できるようにしているそうです。また、ホストとは「コミュニティ(仲間)」のような関係を築くように努めています。日本であれば生け花の講習会を開いたりして、国の文化について社員とホストが共に学び、タッグを組んで、ゲストに対して最高の「居場所」を提供できるようにしているのです。

Airbnb sample picture

【事例2:ザッポス】

靴のネット通販会社としてはアメリカで最大規模のザッポスは、その「サービス文化」で名を築きました。CEOのトニー・シェイは、会社の創成期から「文化を築けば結果は後からついてくる」をモットーに掲げ、「サービスを通してWOWを届けよ」というコア・バリューを中核に据えてサービス精神を基盤とした会社を育んできました。
その「サービス精神の徹底」は、人の心を揺り動かし、口コミを呼ぶ感動のストーリーを生んできました。病気で母親を亡くしたばかりのお客さんにサプライズの花束を贈る話は中でも特に有名で、「ザッポス流サービス」を象徴するものとして幾度となく語られています。ザッポスのコンタクトセンターのオペレーターには、「顧客を満足させるためならほとんど何をしてもよい」と言われるほどの幅広い裁量が与えられているのです。
また、この「サービス精神」は社外の顧客だけではなく、社内の同僚同士や社外の取引先にも同様に向けられています。
ザッポスには、社員が社内で後から来る人のためにドアを開けて待っているという習慣があります。また、同僚が困っている時には進んで助け合う、そして、常にお互いを「びっくりさせたり」、「楽しませたり」しようと気遣う文化があります。ザッポスの本社には多くの取引先(メーカー)が商談にやってきますが、商談の際に商材の送料をザッポスが負担してくれるというプログラムまであるのです。このプログラムのおかげで、取引先の担当者は本社を手ぶらで訪問することができます。まさに、至れり尽くせりのサービスなのです。このようにして、ザッポスは「企業文化」を基盤に、顧客、社員、取引先から愛される会社を築いているのです。

参考資料:『ザッポスの奇跡 石塚しのぶ著』

"まず、サービスを中核とした企業文化を築いて、育むこと!そうすれば、成果は後からついてきます" - Tony Hsieh, CEO Zappos

【事例:アマゾン】

アマゾンの企業文化についてはあまり語られることがありませんが、アマゾンもまた、色濃い文化を持った会社です。アマゾンの企業文化をずばりひとことで表すとしたら、徹底した「顧客第一主義」でしょうか。
アマゾンは「すべては顧客のために」というほんとうにフォーカスを絞り込んだ文化を持っています。社内も実に質素です。今どきのネットの会社というと、スタイリッシュなオフィスや高級なオフィス家具、充実したアメニティなどという印象がありますが、アマゾンでは、例えば社員のデスクは古いドアに脚をつけたものです。これは「廃材利用」というよりは、「コストを抑えて顧客に還元する」というアマゾンの徹底した哲学を象徴するものだと思います。
アマゾンの「顧客第一主義」にまつわる話は枚挙にいとまがありませんが、重要なことは、アマゾンの「企業文化」がオフィスの環境や社員の日々の言動に色濃く反映され、アマゾンという企業全体のアイデンティティを形成しているということです。そして、それがアマゾンという会社の「ブランド」や「個性」にもつながっています。事業目的やフォーカスを後押しする要素になっています。企業文化というのは、企業の在りようにそれほどまでに強い影響をもたらすものなのです。
事業目的やフォーカスを後押しする「戦略的な企業文化」を築くための手法が、ダイナ・サーチが提唱する「コア・バリュー経営」です。ダイナ・サーチでは、「コア・バリュー経営」の導入を支援する様々なサービスを提供しています。詳細はこちら。

参考資料:『アメリカで「小さいのに偉大だ!」と言われる企業の、シンプルで強い戦略 石塚しのぶ著』