フェイスブックの未来:明暗を分けるのはやはり「企業文化」-上場申請に思うこと

今日、フェイスブックが待望の上場申請を行いました。ウェブ上に公開された申請書類にさらりと目を通してみましたが、なかでも特に印象に残ったのが、若き創設者であり最高経営責任者であるマーク・ザッカーバーグからの手紙です。

フェイスブック

世界中の人々がつながり、自己を自由に表現しあうことを可能にするツールを提供することによって、「社会を変える」。この実に大胆ともとれる声明文から、生活者、そしてフェイスブックのコラボレーター(デベロッパーや広告主)にとって、史上最強のソーシャル・プラットフォームを構築するのだという彼の意気込みを感じ取ることができました。

もう一歩踏み込んでいえば、人と人との間の「SHARE(共有)」ということが、今日の社会を支える中核的な価値創造活動になる中で、フェイスブックの目指すところ(ザッカーバーグは「ソーシャル・ミッション」という言葉を繰り返し使っている)が明確に打ち出されていたと思います。

フェイスブックまた、もうひとつ私の注意をひいたのは、申請書の中で、ザッカーバーグがフェイスブックの企業文化についてかなりの熱を込めて語っているということです。「ザ・ハッカー・ウェイ」と呼ばれるフェイスブックのカルチャーが今後の成功のカギであり、その一方で、「スピーディな実践」を重んじ、「短期的利益に目を向けない」という価値観が仇になる可能性もあると「リスク要因」のセクションで述べているところが、非常に興味深いと思いました。

『企業文化はどのような戦略にも勝る』というのは、一説によればかのピーター・ドラッカーの言葉だとも言われていて、アメリカではかなり以前からよく引用されるフレーズですが、「企業組織として、どんな文化をつくるのか」、「どのようなミッションを掲げるのか」、そして、「働く人たちと、どのような価値観を共有していくのか」ということが、今日、経営上の大きな命題としてとらえられているのだということをザッカーバーグの手紙から感じました。

この若き会社、フェイスブックが、これからどのように世の中を変えていくのか、ひとりの生活者としての期待とビジネスの研究者としての好奇心に胸を躍らせています。