コア・バリューの実践を徹底 ―お客様に愛されるザッポスのコンタクトセンターの秘密―

コア・バリューに則ったコンタクトセンター運営

ザッポスのCLT社員の働く様子ザッポス社で行ったディスカッション・セッションの三本目は、「CLT(カスタマー・ロイヤルティ・チーム)」と呼ばれるザッポスのコンタクト・センターで、「リード(チーム・リーダー)」を務める社員の方にお話をききました。

『ザッポスの奇跡』を読まれた方ならご存知のとおり、マニュアルも、スクリプトも、対応時間の制限もない、「ないないづくし」のザッポスのコンタクト・センター。コア・バリュー(中核となる価値観)に則った判断を徹底しています。

顧客対応の基本原則は「友人にするように対応する」ことと、「PEC(個人的、かつ感情的なつながり)を築くこと」です。

権限委譲するにはコア・バリューの浸透が決め手

「権限委譲」の企業文化の育成を目指し、ザッポス視察セミナーに参加される方から頻繁に聞かれることなのですが、

「社員の個性を表現してもらいたいのはやまやまだけど、野放しにして勝手なことをされては困る・・・」。

こういった悩みを抱えておられる企業様は多いようです。

ザッポスCLTのリーダーによるセッション風景コア・バリューの実践を柱とするザッポスのコンタクト・センターにも、かつては、社員の電話対応をリアルタイム、あるいは録音で傍聴してスコアリングする「QA(クオリティ保証)」と呼ばれるチームがあったのですが、一年ほど前から、「ザ・ラーニング・センター」と名前を一新し、スコアカードも撤廃して、社員の自己評価と他者(同僚からの)評価、そしてディスカッションを三つの柱としたコーチング・ベースの指導法へと変化してきています。

「お客様のAという要望には、こう答える」
「Bは良いけれども、Cはダメ」

ザッポスの顧客対応には、こういった「正解」、「不正解」はありません。むしろ、一つひとつのシチュエーションに対し、コア・バリューに基づいて考え、個々人が意思決定することが要求されます。

チームリーダーの仕事はコア・バリューに基づく人材育成

ザッポスのコンタクトセンターには、12人で構成される「チーム」が複数あり、各チームを「リード」と呼ばれるチーム・リーダーが統括していますが、「リード」は、一週間に一度は必ず、自分のチーム・メンバーの一人ひとりとミーティングを行うそうです。

このミーティングでは、業務評価やスケジュールに関することばかりではなく、ザッポス・カルチャーへの貢献度や、ザッポスのコア・バリュー第五条である 『学びと成長』に則った各社員の目標確認(例えば、社内教育のプログラムで今どんなクラスをとっているのか、次にどんなクラスをとる予定なのか、今どんな 本を読んでいるのかなど)などについても話し合われるそうです。

「少なくとも週に12のミーティングをこなすということは、チーム・リーダーはかなりの時間をチーム・メンバーとのコミュニケーションに費やしているということですね・・・」

今回のセミナー参加者の方が唸っておられましたが、『ザッポスの奇跡』にもあるように、ザッポスのコンタクト・センターの「リード」は、チーム・メンバーの成長を見守る親鳥のような存在。共通のコア・バリュー(価値観)に支えられた組織をつくるためには、日々の意思疎通と個人の育成が必要になります。企業文化の育成を戦略の中核として掲げるザッポスでは、「人を育てること」がチーム・リーダーの主要業務だと言ってもよいでしょう。そのためには、どんなに多大な時間を費やすこともいとわないのです。

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