「企業文化を教える」のは可能?-ザッポス社社内教育担当者にきく

社員全員が「企業文化の担い手」

ザッポス社内ツアーの様子

ザッポス社訪問の際の二番目のセッションは、社内教育部門のシニア・トレーナーを迎えてのディスカッション・セッションでした。

企業文化を経営の中核とするザッポスでは、全社員が「企業文化の担い手」であることが大前提とされています。

ですから、社内のリーダーも、社外からリクルートするというよりは、「社内昇進」が基本。ザッポス社内で、企業文化やコア・バリューを体得して、「育って」きた人材を抜擢することが理想です。

企業文化の浸透と強化をはかる社内教育プログラム

ザッポス社内教育部門担当者によるセッションの様子そういった考え方を背景に過去数年をかけて組み立てられてきたのが、『パイプライン』と呼ばれるザッポスの社内教育プログラム。ザッポスでは、向こう10年以内に、この『パイプライン』を通して、シニア・リーダーの80%が社内から輩出されるようになることを目的としています。

明日のリーダーにスキルやナレッジを教える、というのはもちろんですが、それにも増して重要視されているのは「企業文化の浸透と強化」

そこで、「企業文化」という形のないものをどうやって教えるのか?というのが疑問になります。

企業文化を教えるこつは?

まず最初の質問として、「企業文化を教えるこつは?」と投げかけてみると、「勝負の半分は『採用』で決まります」という答えが返ってきました。

「ザッポスの企業文化を成文化したもの、それが『コア・バリュー(中核となる価値観)』ですが、価値観が合うか合わないかというのはもって生まれた資質であって、変えることはほとんど不可能です。ですから、ザッポスの十のコア・バリューを共有できる人材を採用すること、それが第一のステップです」。

また、「価値観を共有できる」ということを採用時に確認すれば後は野放しでよい・・・、というのではなく、『パイプライン』の中でも、ザッポス社員一人ひとりが「企業文化の担い手」として、コア・バリューに対する理解を日々深めていく、切磋琢磨していくための仕組みが設けられているようです。

企業文化を強化するユニークなクラスの数々

例えば、ザッポスの企業文化を表現、あるいは強化するためのイベントを4、5人のチームで3週間以内に企画、遂行するクラスがあります。また、上司や同僚、部下に、10のコア・バリューに対する自分の達成度を評価してもらい、弱いところを強化するアクション・プランを練って、遂行する・・・、そして3週間後に、どのくらい改善されたかを同じ人たちに評価してもらう、というクラスもあります。

企業文化や価値観というものが無形のものであり、人によって解釈が異なるものであるからこそ、省察や意見交換を通して、会社という共同体としての共通理解を深め、実践していくこと。ザッポス流学びの極意をまた垣間見ることができました。

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