明大生からの質問

自社が属する地域ならではの個性、あるいは地域に受け継がれてきた独特の風土などを、どんなふうに経営に活かしていらっしゃいますか。また、地域に貢献するという観点から、経営上心がけていることがありましたら、教えてください。

回答:
弊社の場合は日米間のビジネスを行っていますので、まさに地域の特性を活かすビジネスといえるでしょうね。私は、若い頃、アメリカの企業で働いていましたが、「日本人としてアメリカで学び、経験してきた知識を活かして日米両国に貢献しよう」、そう思って始めたのが今のビジネスです。

日米間ビジネスをはじめてから、長年に渡って、日本とアメリカの商習慣の違い、文化の近いというものと付き合ってきました。大変なのは、「アメリカにいるんだからアメリカのことは何でも知っているはず」と思われてしまうことです。しかし、日本にいる方だって、アメリカ人に尋ねられて分からないことはいくらでもあるでしょう。それと同じで、アメリカに暮らしているといっても、自分の分野というか領域のようなものがありますから、何でもすぐに対応できるというわけにはいきません。それに、アメリカは広大な国ですから、地域が変わると文化も随分違います。ロサンゼルスからニューヨークへは、飛行機で5~6時間、時差も3時間あるわけで、目的地へ辿り着くための移動だけで丸一日かかります。

しかし、グローバルな視点で見て、我々は日米両国の間に壁があるとは考えていませんし、アメリカだから特別だとも思っていません。むしろ「アメリカは違ったマーケットである」という捉え方が我々のビジネス・スタンスです。しかし、異なった文化や商習慣をベースにしたマーケットにはいろいろなアイディアが発掘できる好機もあるわけですね。ですから、政治的な視点でなく、ビジネスの視点で見ると、アメリカのマーケットはまだ日本にとって色々な意味で重要な市場だと思います。