アメリカで大ヒットのセルフヘルプDVD 「The Secret」を見て

普段は健康体が自慢の私なのだが、「こんなひどい風邪は今までひいたことがない」というくらい悪質な風邪をひいてしまって先週一週間くらい不調が続いていた。ようやく回復してきたので日々のルーティンを取り戻すつもりでこのブログを書いている。
アメリカのカリスマ的トークショー・ホスト(女性なので正確には「ホステス」だが)であるオプラ・ウィンフリーの番組で紹介され、アメリカで大きな反響を呼んでいる「The Secret(ザ・シークレット)」というDVDを見た。ジャンルでいうと「セルフヘルプ」とか、「スピリチュアル」ということになるのだろうか。マーティン・ルーサー・キングや、アインシュタイン、ニュートンなど、歴史上の偉人たちが成功の糧としていた「The Secret(秘密)」を、現役の作家(『男性は火星から、女性は金星からやってきた』のジョン・グレイ、『こころのチキンスープ』のジャック・キャンフィールド)啓発家、理論物理学者、医者などの証言を通して解き明かしていく趣向で成り立っている。
the secret 秘密肝心の「The Secret(秘密)」とは、「Law of Attraction(引き寄せの法則)」と呼ばれるもので、それ自体はまるきり新しいコンセプトではない。かいつまんでいうと、「自分の意識や願望が現実になる」というものだ。常に悲観的な考えや感情を抱きながら生活している人の周りには、ネガティブなことが起こりがちであるし、その逆もまた真なり、ということらしい。
最初の30分間には「アラジンと魔法のランプ」なども登場して、多少見る気がそがれたが、見すすめていくうちになるほどと頷けることも多かった。語られている内容の多くは、以前に本や講演で見聞きしたことと重複する。「人生における成功」という大きなテーマを、「Ask(求める)→Believe(信じる)→Receive(受け取る)」という単純なフォーミュラで解き明かすことは難しいと思うが、「The Importance of Gratitude(欠けていることを嘆くのではなく、満ちたりていることに対して感謝の意を抱け)」や、「人の欠点ではなく、良いところに目を向ければ、トラブルだらけの人間関係も好転する」など、いずれも人生においては重要な教訓だ。
こういった「生き方の姿勢」みたいなものは、頭ではわかっていても、なかなか実践できないことが多い。「ポジティブ・シンキング」よりも「ネガティブ・シンキング」に傾いてしまうのがそもそも人間の本質というものだ。だからこそ、こういった教えを自分に言い聞かせ、意識を新たにするために、人は本を読み、DVDを見て、セミナーに出席するのだろう。アメリカでは昔から、こういった「自己啓発ビジネス」が多く存在し、年間売上1兆円近い一大産業になっている。「The Secret」については、日本でも9月には本が、そして年内には日本語版DVDも発売されるというが、果たして日本の人たちにはどう受け止められるのか・・・、アメリカに住む私にとっては興味津々だ。