米国ラグジュアリーマーケットに忍び寄るドバイの金力

米ラグジュアリー・リテーラー、バーニーズをめぐって、ユニクロとドバイの投資会社が争ったニュースは日本でもかなり話題になったようだ。その余韻も覚めやらぬうちに、今度は世界最大のカジノ/リゾート・オペレーター、MGMミラージュが、約50億ドルの投資をドバイの会社(ドバイ・ワールド)から受けることを発表した。
ドバイ・ワールドが投資するシティセンターそのうち27億ドルは、MGMが現在進めている『シティセンター』開発プロジェクトに充てられ、最終的には『シティセンター』の半分をドバイ・ワールドが所有することになるという。ちなみに『シティセンター』とは、ラグジュアリーな住環境(ホテル/コンドミニアム)とアップスケールなショッピング空間を提案する複合型エンターテイメント・センター。ラスベガスのストリップ沿いに2009年にオープン予定である。
ドバイ・ワールドは、ドバイの政府系ホールディング会社で、人口島で構成されたザ・パームやザ・ワールドなどのリゾートの管理運営で有名。ドバイだけではなく、世界各地のリゾート地にプロパティを所有しているということで、MGMへの投資はアメリカ進出への足がかりとしてはまさに理想的だ。かたや、MGMの狙いは、『シティセンター』のコンドミニアムをドバイの富裕層に販売することだと聞く。ラスベガスではラグジュアリー・コンドミニアムの建設ラッシュで、バイヤーを巡っての競争も激しいが、そこで、オイル・マネーをうなるほど抱えているドバイの富裕層を誘致したら、というところにMGMは目をつけたらしい。ドバイ・ワールドとの資本関係を利用して、MGMでは、ドバイに営業所をオープンする構想も練っているという。アラブ諸国だけではなく、ヨーロッパの富豪たちがバカンスを過ごすドバイに営業所をオープンすれば、世界中の富をラスベガスに引き寄せることができるというのが、MGMの思惑であるかもしれない。