ザッポスのひとつの特徴として、会社の隅々から社員のアイデアを吸い上げ、それを素早く実行に移していく、ということがあります。
それに関連して、
- アイデアの吸い上げはどのようなプロセスで行われているのか?
- 意思決定はどのようなプロセスで行われているのか?
- 何かミスが生じた場合に、責任の所在はどこにあるのか?
という質問が出ることがあります。
今回の訪問では、この三点についてザッポス・インサイト(社外教育事業部)のジョンさんに問いかけてみました。今日はまずその①、「アイデアの吸い上げ」について書いてみたいと思います。
社員のアイデアを会社に活かすためには、そもそも、社員の誰もが自由にアイデアを口に出すことができ、その交換が活発に行われるような環境をつくらなくてはなりません。この環境づくりには、ザッポスの企業風土が大きく貢献しているように思います。
コア・バリューでいうと、「チーム/家族精神」と「オープン・コミュニケーション」ですね。
社内のコミュニケーションが縦横自在(上司-部下、部門間)に行われていることが、ザッポスの強み。
それを可能にする仕掛けのひとつは、「入社直後から、部門間のつながりを密にする環境が意識的に整えられている」ということです。
どういうことかというと・・・、例えば、入社後にザッポス社員全員が受ける四週間の研修プログラムは、ひとつのクラスの中に複数部門の人がバランスよく入っているように、意図的に編成されているそうです。
社内の部門人数構成のバランスからして、CLT(コンタクト・センター)に配属される新入社員の割合が圧倒的に多いのですが、それでも、各クラスの中で、50%がCLT、残り50%が他部門という具合に編成されているらしいです。
こうして複数部門の人が4週間共に机を並べ、同じ課題に取り組むことで、異なる部門に配属後も、「単なる同僚」という関係を超えた絆がキープできる・・・。
ザッポスのリーダー養成プログラムである「パイプライン」のクラスも同じような考え方で構成されています。また、四半期に一度開かれるオール・ハンズ・ ミーティング(全社員ミーティング)にも、部門の枠を越えた活動が組み込まれています。例えば、「ザッポス」というトピックでブレインストーミングを行い、そのアイデアを大きなキャンバス地に寄せ書きするとか・・・。いろいろとクリエイティブな活動が行われます。
他にも、ザッポスのオフィスが「オープン・ドア・ポリシー」ならぬ、「ノー・ドア・ポリシー」であり、CEOのトニー・シェイをはじめいわゆる「エグゼクティブ」が他の社員と同じ空間に座っているため、気軽に声をかけることができるとか、エグゼクティブに直接メールを送って、返事をもらうことができるとか、社内ウィキを活用しているとかいろいろな要素がありますが、やはり根本としては、「オープンにアイデアを共有し、先入観なく検討する企業文化」があるように思います。
次回は、②の「意思決定のプロセス」について書きたいと思います。