アメリカの郵政公社によるなんとも奇妙なブランド拡張?

アメリカの郵政公社USPSがアパレル市場への参入を発表しました。そのブランド名は「Rain Heat & Snow」。

あまりに唐突な書き出しなので、読み間違いだと思った人も多いと思います。なので、念のため、もう一度繰り返します。アメリカのいわゆる郵便局であるUSPSがメンズ・アパレルを展開するそうです。そのブランド名は「レイン・ヒート・アンド・スノー(雨、熱、そして雪)」。

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直訳すると余計に笑えますが、ニュース自体は気の早いエイプリル・フールでもジョークでもなく大真面目です。ブランド名は「雨、熱、雪、そして夜の闇にも負けず我々は配達を遂行する」という、USPSのモットーから来ているそうです。

近年、日本郵政グループの経営危機が危惧されているようですが、アメリカの郵政公社も昨年だけで150億ドルの損失を出しているようです。・・・ならばなおさら、アパレルなんて畑違いなものに手を出している暇はないのでは・・・と、目を疑い、十一回目ぐらいに記事を読み返して確認しました。

オハイオ州のクリーブランドにある紳士服メーカー、ワーコナー・グループと手を組み、「ウェアラブルエレクトロニクス(その名のとおり、電子機器として作用する衣服のこと)」を展開していくらしいのですが、なぜ、USPSが・・・?いくら考えても、その背景にあるはずのロジックが見えません。

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事業拡張を考える時、商品でもサービスでもたくさんの可能性があると思いますが、USPSがなぜ「アパレル」なのか。日本では佐川急便の「イケメンドライバー」たちが人気を集めているといいますが、USPSのブランドイメージには、「かっこいい」の「か」の字もありません。

それどころか、大多数のアメリカ人にとっては、USPSほど、「ファッション」から遠いものもないのではないでしょうか。そもそも、USPSに「ブランド」なんてものがあるのかどうかも疑問です。

USPSのスポークスパーソンによれば、「レイン・ヒート・アンド・スノーはワーコナー・グループとのライセンシング契約であり、USPSからの出資は発生しない(以上要約)」とのことですが、「自分のお金は一銭もつかわずにライセンス料が入ってくるのなら・・・」というタナボタ的な思惑が動機だとすれば、年間150億ドルの赤字の救済策としてはあまりにも安易すぎる経営判断だと思うのですが・・・。

皆さんはどう思いますか?