米国リテール業界を騒がせる「エコ・ストア」ラッシュ

今、アメリカでは、「エコ・ストア」が花盛りだ。ウォル・マートの「エコ・スーパーセンター」をはじめとして、マス・マーチャンダイザーのJCペニー、オフィス・サプライのステープルズなど、大手リテーラーが競ってエコ・ストアの開店を発表している。

風力発電

2006年に公開された映画『不都合な真実(An Inconvenient Truth)』のアカデミー賞受賞や、ハリウッド・セレブの後押しがきっかけとなり、アメリカでは環境保護に対する熱気が強まってきている。トヨタやホンダなど日本のオートメーカーが牽引するハイブリッド車の人気も、『Green business is a good business(環境に優しいことはビジネスにも有利)』であることを立証し始めている。エンロンやワールドコムをはじめとする企業の不祥事の反動で、CSR(企業の社会責任)に対する一般消費者の関心は数年前からすでに高まりを見せていた。しかし、ここにきて、環境問題に取り組む企業の可視性が一斉に高まり、ビジネス界における風向きがぐっと変わった感がある。
地球温暖化に関するニュースが、TVなどのマス・メディアでも毎日のように聞かれるようになった。北極の氷は今後20年間のうちにすべて溶け去ってしまうだろうという予測もある。温暖化による自然環境の変化は、我々の肌でも感じられる、ごく身近なものになってきた。アメリカ国民にとっても、環境問題はごく感情的な、パーソナルなものになりつつあり、環境保全に積極的に取り組む企業は、消費者のお財布の支持を得ることができるということだろう。これまで、環境問題に関してアメリカは消極的だったが、こうやって米国大企業がこぞって力を入れ始めると、世界的にも大きな影響が出てくることは疑いない。