ザッポスの「ヌード広告」がYahoo!を乗っ取り!!

7月中旬のある日、ザッポスの新しい広告は「裸の女性」が主役だと聞いて、ちょっと意外に思いました。

「セックスでものが売れる」とは、アメリカの広告業界ではよく言われることですが、それと同じ理屈で、「ヌードでものが売れる」も然り、という短絡的思考に走ったのかと思い、がっかりしたのです。

デジタルそして印刷媒体を中心に展開されたその広告は、ニューヨークのお洒落な町並みを背景に、裸の女性がジョギングしたり、フリスビーに興じたり、街頭で手をあげてタクシーをとめたり・・・という光景を描いたもので、危ういところをカバーする貼り紙(?)には、『MORE than SHOES!(靴以外も売ってるよ!)』と書いてあります。

そう。裸の女性を起用したのは、別にセクシーさで売ろうとしたのではなくて、「アパレル」を強調したかったということなのです。靴のネット通販では、「向かうところ敵なし」のポジションを築いたザッポスが次に狙うのは靴市場の約四倍といわれるアパレル市場。「靴だけじゃない!」というメッセージを伝えるために起用したのが「裸」であったというわけです。

ところで、裸の女性の広告がお目見えした直後、『「裸の男性」版広告は7月末にリリース』という予告がありました。

「そんなもの・・・」と内心思っていた私ですが、実は、今日初めて、その「裸の男性」版広告とやらを目にしました。

米Yahoo!のホームページを開くと、ジョギング・シューズと靴下だけを身につけた裸の男性が画面を右から左へと横切って走ってきます。そして画面右下にあるザッポスの四角い広告の中に納まりますが、『Follow this guy(この男を追いかける)』という文字をクリックすると、何か身に着けるものを求めてこの男性の旅路が始まるのです。

広告の趣向は、服を求めて男性(名前は「アーサー」)が、様々なウェブサイト上を走りぬけ、最終的にザッポスのサイトにたどり着くというもの(アーサーが通過するウェブサイトは広告用につくられた偽のウェブサイトです)。旅路の途中、アーサーはサイト上にディスプレイされているザッポスのバナー広告の中からシャツや短パンを拝借し、最後はザッポスのサイト上にエクササイズ・ウェアを身にまとって登場します。

この面白さはまさに「百聞は一見にしかず」ですので、ぜひYahoo.comで皆さんのその目で確かめてみてください。

(注:いつもザッポスの広告が出てくるとは限らないので、出てこない場合は何度かトライしてみてください。)

ところで、広告の中で「裸」を扱うというのはアメリカでもとてもリスキーなこと。過去にも、日本でも人気のアバクロやアメリカン・アパレルが裸のモデルの起用で猛烈な批判を受けています。今回のザッポスの広告に関しても、「悪趣味だ」「子供の教育によろしくない」などのネガティブ・バズもあり、反応は様々です。ザッポスの取引先の中にも、「裸」を理由にこの広告への協賛を辞退したところもあったとか・・・。

「お洒落するのも、カジュアルに決めるのも、あなた次第。
あなたが服を着る限り、ザッポスにはあなたの求める何かがある」
広告のテイストについては賛否両論とはいえ、ウィットに富んだキャッチコピーに、なんともいえぬ「ザッポスらしさ」を感じました。