『もし、大統領が日本で家を建てるとしたら!?』 に見る、都田的サービス

もし、大統領が日本で家を建てるとしたら!? 蓬台 浩明最近「もし、大統領が日本で家を建てるとしたら!?(著者/蓬台浩明氏)」という本を読みました。タイトルを見て、いったい何が書いてあるのか、と興味深々で手にとったのですが、実はこの本の内容、サービスに関する考え方が非常に斬新で、建築業界だけではなく、どのサービス業にもあてはまる、示唆にとんだアイディアをくれます。私も読み進めていくにつれ、“都田的”な魅力にどんどん惹かれていきました。

都田建設のお客様に対するサービスの考え方や、企業文化の在り方は、非常にアメリカのザッポス社と共通したところがあって、「ザッポスの奇跡」を執筆したころの感覚がよみがえってくるようで、かなり楽しめました。

私も住空間にはとてもこだわりを持っていて、家の改築や改装などこれまで何度も手がけたことがありますが、都田建設さんのビジネスのやり方で、生活者の視点からいいなあ、と思ったことがあります。

たとえば、都田建設さんでは、家を建てる前に、その家に携わるすべてのスタッフと職人をお客様に紹介するそうです。これは、生活者として、とてもありがたいことです。実は私も、家の改築工事などを業者に依頼するとき、私自ら作業に携わる人たちと交流を持つようにしています。工事を慎重に行ってもらうように、少しでも親しくなっておこうと、こちらから気をつかっているわけですが、都田さんではそんな生活者の不安をよく理解しているわけですね。

スタッフの方のエピソードにも都田建設さんの価値観が表れています。家の引き渡しの時にお客様と一緒に号泣してしまった話や、病気で打ち合わせを延期したいと言ってきたお客様の家に走って励ましのメッセージを渡しに行った話など、“ザッポス的”ならぬ“都田的”カルチャーが浸透しています。

家を建てるとなると、かなりカスタマイズの要素が入りますから、お客様あとの交流やふれあい、信頼関係が重要になってくるわけですが、他のビジネスにおいても、お客様とのつながりがそれなりに必要だと思います。私の著書「ザッポスの奇跡」に興味を持たれた方なら、都田建設さんの話にも興味をもたれるのではないかと思います。

また、もうひとつ、特に感銘を受けたのは、都田建設さんの社会貢献活動のスケールです。工房やインテリアショップをはじめとするコミュニティーの場を提供することに加え、エコ素材を住空間すべてにおいて提供する取り組みなど、地球環境への貢献も徹底的に実践しています。これは、目先の利益にとらわれず、お客様に家族同様の愛情を持って接するという“都田的”考えの現れですが、ここまで実践するのは並大抵のことではないでしょう。

実をいって、この本を読み終えてから、私も家を建てるなら都田建設さんに頼みたいと思ってしまったほどです。