ザッポスCEOトニー・シェイから学ぶ:「己を知る」ことはリーダーの条件

先日、『ザッポス・アップデート2012』と題し、2013年10月に控えた本社移転を巡るザッポスの第二次創業構想について講演・セミナーをした際に、CEOトニー・シェイのパーソナル・コア・バリューについて少しだけ触れました。

石塚の講演、ザッポス・アップデート2012

全部で8項目あるのを一枚のスライドにまとめて皆さんにお見せしましたが、「もっとじっくり見たかった」、「書き写して保存したい」などの要望が多くあったので、私が言い足りなかったことも含めてブログにまとめてみようと思いました。

まずは下がトニーのパーソナル・コア・バリュー8項目です。

  • 一人では達成できない大きな目標に皆で取り組む
  • 共同体のつながりを育む
  • 情熱をもって生きる
  • 常にビジョンをもつ
  • 自分らしくある
  • いつ何時も意義を考える
  • PLUR(ピース、ラブ、ユニティ、リスペクト)
  • 経験は物よりも尊い

皆さんならこの中のどれがご自身のコア・バリューと重なりますか。
私なら、「情熱をもって生きる」でしょうか。

トニーというのは本当に飾り気のない人で、普段はたいてい、ザッポスのロゴ入りTシャツにジーンズといういでたちですが、物にこだわらない反面、人を「びっくりさせたり、驚かせる」のが大好きで、ザッポスが取引先や社員を集めて年一回行う盛大なパーティではいつも奇想天外なサプライズを用意しています。これは、「経験は物よりも尊い」の反映であるといえるでしょう。

あらためて紙を前にし、自分の価値観を言葉にして表そうと取り組むと、明確な定義ができ、自己認識が深まると思います。そして、一度言葉にしてみると日常生活の随所でそれが思い出されて、より一層コンシャス(意識的)な意思決定ができます。

ソーシャル時代のリーダーの条件はセルフ・アウェアネス(自己認識)だといわれています。より日本風にいうと「己を知る」ということになるでしょうか。

石塚の講演、ザッポス・アップデート2012

会社というのは「個」の集まりです。価値観のはっきりした会社をつくるためには、会社の中の「個」がそれぞれ自分の価値観をしっかりと持ち、しかもそれが会社の価値観と一致していることが必要になります。リーダーが明確な価値観を持っていることは勿論ですが、これはリーダーだけに限らず、会社の構成員すべてについても言えます。自分なりの価値観を明確にもっている人が多い組織こそ、強い組織になると思います。

トニーのパーソナル・コア・バリューを見ると、それがザッポスという会社のコア・バリューにも色濃く反映されているのがわかりますし、また、彼がこれまでしてきたこと、今取り組んでいることすべてがコア・バリューとぴったり合致していることがわかります。きちんと筋が通っていて、ぶれがない。それが、トニーが魅力的なリーダーである所以だといえるでしょう。

皆さんも是非、特別な時間をつくり、あらためて紙の前に座って、ご自身のコア・バリューというものを書き出してみてください。実際にやってみると意外と難しいものですが、そこから得られる自己洞察の実りはきっと大きいと思います。