「売れる仕組み」に革命が起きる

「売れる仕組み」に革命が起きる 「顧客」の時代がやってきた 石塚しのぶ

アマゾンで購入

アメリカでは、1990年代の終わりから2000年にかけて、「顧客主導型」ということが盛んに言われてきました。市場の主権が、売り手から顧客に移行した。この理屈は、皆さんも一度は耳にしたことがあると思います。そして、2005年くらいを境に、この変化が急激に加速してきました。ウェブの発展によって、個々の顧客が様々な情報を容易に手に入れることができるようになったばかりではなく、顧客同士が「つながり」、ネットワーク(集合体)を形成できるようになったことから、顧客パワーが数十倍、数百倍にも増幅し、私たちの世界観を根底からがらりと変えていっているのです。

 

90年代の終わりに、「顧客主導型」ということが叫ばれるようになって以来、私は、大きく揺れ動くアメリカの市場、そしてそれに対応しようとする優良企業の取り組みを観察してきました。そういった観察の中で、過去数年に顕著になってきたのは、テクノロジーを基盤に前代未聞の新しいビジネス・モデルを築き、顧客により大きなパワーを与えるツールや仕組みを提供することを通して顧客の支持を得、めきめきと勢力を伸ばしている「テック企業」の存在です。従来型の流通業(=リアル企業)は、こういった新興勢力である「テック企業」と、どんどん自己主張を強くする「顧客」との狭間で、変化に耐え得る企業、未知の時代に生き残る企業、としての変革に乗り出さなくてはなりません。

 

供給者の立場からいえば、今までのビジネスの常識に合致しないことが次々と起きる、怖い時代、一方、顧客にしてみれば、「自己表現」と「結束」の力に支えられた、実にエキサイティングな時代になってきました。しかし、企業人も見方を変えれば、「顧客」です。ビジネスの世界では、「供給者」サイドに立っている人たちが、今いちど「顧客」の視点に立ち返って事業を見つめなおすことに、革新のチャンスが潜んでいるのではないかと思います。

 

この本では、この「逆転の市場」において、流通会社が競争優位をどう考えていくべきか、について数々の事例を挙げながら探求しています。この本の中にすべて答えがあるわけでは勿論ありませんが、企業の未来を左右するこの大きな命題について考える上でのある種のヒント、あるいは出発点を提示することになればと考えています。

石塚しのぶ              
Dyna-Search, Inc. 代表       

     


INDEX

序章
■ 流通市場の新潮流―「ウェブ時代」における第二次顧客革命
■ クリティカル・マスになったネット人口と、デジタル・ネイティブ世代の誕生
■ 市場を変える二つのパワー
■ 「リアル企業」は何をすべきか―ウェブ時代を生き抜くために

第1章 「顧客パワー」の台頭―顧客を中心に市場は回っている!
■ 「顧客主導型」が迫る意識変革
■ 売り手主導の市場から顧客主導の市場へ
■ マス・ニッチ・マーケット
■ ニッチ・マインドの誕生
■ 革新を迫られる売り手たち

第2章 流通に挑むテックたち―アマゾン対リアル
■ テック・ミュータントの侵略
■ 流通の主役になったアマゾン
■ 「顧客の期待」を定義するアマゾン
■ 「ウェブ」というマグネット
■ 「テック」と「リアル」の対決
■ 「リアル」にあって、「テック」にないもの
■ 「テック」をテコに、「リアル」は生まれ変わる

第3章「顧客」の時代がやってきた
■ 情報時代の権力者=YOU
■ 「個x無限大」の市場
■ とどまるところを知らぬ、UGCサイトの膨張
■ 「顧客パワー」を駆使した次世代広告の模索
■ 転換を迫られるマス・メディア
■ デジタル・ネイティブ世代の誕生
■ 子ども世界に浸透するバーチャル・ワールド
■ 新たな仕組み―「個」のつながりでものを売る

第4章「リアル企業」は挑戦する―ステープルズの革新
■ 革新し続ける企業、ステープルズ
■ 店を開けば客が来た時代
■ スーパーストアの登場
■ 業界障壁を超えた先駆者たち
■ 米国オフィス用品流通業界の第二戦国時代
■ 戦略の隅々にまで反映された「顧客中心主義」の徹底
■ 「個」に対応するセールス/マーケティング・モデル
■ テクノロジーを駆使した個別体験の提供
■ 「リアル企業」は挑戦する

第5章「顧客の声」を循環させる仕組みをつくる
■ 企業は本当に顧客の本音を聞いているのか
■ 顧客の声の統括管理の重要性
■ ステープルズのVOC
■ カスタマー・インテリジェンスの全社的循環
■ 「顧客の声を聴く」姿勢を育む―グループ・モニタリング
■ 「ウェブVOC」という革命
■ 顧客の声を「聴ける限り聴く」努力
■ ウェブ時代のサンプリング・プログラム―スピーク・イージー
■ 顧客の知恵を利用してヒット商品を生み出す―インベンション・クエスト
■ 顧客同士の信頼を利用する―カスタマー・レビュー
■ 顧客プロフィールに基づいたアンケート・プログラム―フィードバック・フォーラム
■ サードパーティ企業を起用したウェブ・アンケートの実践
■ 顧客の生の声を聴く―カスタマー・コミュニティ
■ ステープルズの魂

第6章 ウェブ時代に、カタログはどう変わるのか
■ 「カタログ通販会社」の絶滅
■ 「通販」におけるセールス/マーケティングの変容
■ カタログ通販の限界に挑戦したバイキング
■ バイキングのファナティカルな顧客サービス
■ 顧客の期待を超越するサービス
■ 個々の顧客と対話するカタログ
■ バイキングの日本襲来
■ ウェブ時代の到来―カタログはどこへ行くのか

第7章 ハイテク、ハイタッチのセールス・モデルで顧客とつながる
■ カタログ通販からの脱却を図った新モデル
■ ダイレクト・マーケターの誕生
■ SMB顧客の満たされないニーズ
■ ダイレクト・マーケターのアカウント・マネジメント・モデル
■ 顧客主導型市場に勝つ
■ 「人」を育む企業文化
■ 顧客満足は従業員満足から
■ 「顧客主導型市場」の波に乗ったダイレクト・マーケター

第8章 極められる「個」の追求
■ 顧客の「人間像」に迫る
■ 商品デザインからエクスペリエンス・デザインへ
■ 顧客はどこにいるのか―エスノグラフィーによる探索
■ 顧客の目を通して見る
■ 「未来型IT」の展望を探る―インテルのエスノグラフィー
■ ウェブ・エクスペリエンスの創造―顧客エンパワーメントを目指して

第9章 顧客のライフスタイル設計を支援するビジネス
■ 「ライフスタイル・マーケター」の台頭
■ 「ヘルシーでエコなライスタイル」を指南するホール・フーズ・マーケット
■ マス化する「有機/自然食品」カテゴリー
■ ホール・フーズ・マーケットの挑戦者たち

第10章 患者から顧客へ―視点の転換が医療サービスを変える
■ アメリカ医療業界に巻き起こる嵐
■ 医療の現場に押し寄せる「顧客主導」の波
■ ホテル業界から学ぶ医療機関
■ 医療がサービス業になる
■ 顧客エクスペリエンスの刷新
■ コンビニ化する医療

第11章 お役所も「市民満足」に本腰を入れ始めた!
■ 「顧客パワー」の支援を募るアメリカの大統領選
■ 「市民=顧客」の新しい認識
■ 公衆衛生を守るレストランの格付けシステム
■ 企業とのトラブルを仲介する行政サービス
■ 「オープン・ガバメント」の創造

終章
■ 変化のスピードが加速化する
■ 「知っている」だけでは価値がない
■ 「成功の方程式」はもう存在しない!
■ 混沌の時代に―経営者への提言
■ 始まる、世界への挑戦

 

【購入はコチラから】


ホームに戻る

[PR]米国企業の企業文化・取り組みの事例にご興味のある方は、こちらへ→『未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~』『ザッポスの奇跡 改訂版』