企業文化は企業競争力の源-ザッポスに学ぶ経営革新

(2010. 12. 13)

「年商10億ドルの会社だから、企業文化に投資できるんだよね」という、ザッポスの企業文化への投資についてのコメントをよく耳にします。「企業文化といっても、我々の会社はまだ10人ぐらいの会社だし、夜も寝ずに働いているような状況です。企業文化に投資する余裕はありませんよ」といった具合です。

ごく一般的な考え方は、会社の事業の仕組みや財務が整って、余裕が出てきてから企業文化を立派にするという考え方です。でも、ザッポスはそうではありません。そもそも、ザッポスは、経営戦略の中核に企業文化を置いています。ですから、会社がまだ小さかった初期の頃から、企業文化に投資をしてきたのです。

私がトニー・シェイをインタビューした際、「まず、サービスを中核とした企業文化を築いて、育むこと!そうすれば、成果は後からついてきます」と彼は言いました。このトニーの言葉にもあるように、ザッポスは、すべての基盤が企業文化であると考えているのです。評判や、ブランドや、売上や、利益や、会社を存続させるのに必要なすべてのことは、企業文化ゆえの成果物としてついてくるというのがザッポスの主張なのです。

ザッポスCEOトニー・シェイの語る企業文化

企業文化に対するザッポスの真剣さを表すものとして、彼らの「採用」に対する姿勢があります。「コア・バリュー」というのは、会社の全員が共有する価値観であり、社員が意思決定したり、行動したりする際の規範となるものです。ザッポスでは、「コア・バリューに基づく採用と解雇」ということを徹底しています。

採用の際の評価基準となるのは、技術適性、文化適性、そして、求職者が、働く意義をどう捉えているのかということです。このうちどれが欠けても、ザッポスでの採用はありえません。会社内での評価基準を均一にするために、文化適性に関しては人事部が面接を行いますが、特に、文化適性という点では妥協を許さず、人事が絶対的な拒否権をもっています。どんなに学歴、資格、あるいは経験があり、会社の即戦力になると判断された人でも、「文化に合わない」と判断された場合は採用されることはありません

Ub|XZ~i[ザッポスでは、最低でも4回、最高では20回にもおよぶ面接をするそうです。技術適性を判断するのは、募集をかけている部門の部門長なのですが、ここでも技術適性だけを見るわけではありません。ザッポスでは、社員全員が文化適性の重要性を理解しているので、社員全員がそこに厳しい目を向けています。部門面接の際は、求職者は、半日や一日という長い時間をザッポスのオフィスで過ごし、採用後共に働くチームメンバー全員に紹介されます。面接の場だけで文化適性を判断するのはなかなか難しいですが、チームメンバーとのやりとりを通してより正しい判断をするように努めているわけです。

ザッポスでは、人事部の面接官や部門長だけではなく、求職者と接点をもった人たちから、できるだけ多くのフィードバックを得ることで、文化適性の判断を下します。オフィスの受付にいる人たち、また、ザッポスでは来客をホテルや空港に送り迎えするバンを運営しているのですが、なんと、面接に来た人たちの印象をバンのドライバーに聞く、ということもやっているそうです。これは、ザッポスが、働く人の「企業文化への適性」や「価値観の一致」をいかに重視しているか、その表れだといえるでしょう。

「ソーシャル時代」においては、会社の文化や価値観というのは企業力の礎であり、競争力の源になります。企業が、その価値観をしっかりと定義し、企業文化を「ブランド」として世に知らしめ、社員を通してそれを体現することができなくては、生活者の支持を得ることはないでしょう。そして、その重要性は、会社の大小によって左右されることはないのです。

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