ザッポスに浸透する「セレブレーション(お祝い)の文化」

(2010. 3. 22)

先日、ザッポス・セミナーについてのエントリーを書いた際に、ブログ読者から、「セミナーで上がった質問についてザッポスのスタッフがどう回答していたのか教えて欲しい」というリクエストがありましたので、私自身の気付きなども加えながら、数回に分けてお答えしていきたいと思います。今日は、「WOW(驚嘆)のサービスがいかに評価されているのか、そして、どんな褒賞が与えられているのか」という質問についてお答えします。

「評価」という面では、社内評価顧客による評価の二通りが行われています。ザッポスのCLT部門には、コールのモニタリング、評価をしてコーチングを与えることを専門にしているチームがあり、このチームによって、「WOW(驚嘆)のサービス」を提供できているか否かが判断されます。そして、顧客に電話かメールかのどちらかで、顧客が経験したサービスの主観的評価を十段階で問う、「NPSサーベイ」というのがあります。

NPS」は、『ザッポスの奇跡』の中でも説明していますが、「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」で、顧客ロイヤルティ研究の世界的権威であるフレデリック・ライクヘルドによって提唱された評価指標です。NPSでは、特定の会社や商品、サービスについて、「知人に薦めるか否か」ということを、1から10までの十段階評価で聞きただします。9か10と答えた人は、「プロモーター(推奨者)」、7と8は「中立」、1から6までが「批判者」ですが、プロモーターが全体に占める割合から、批判者が占める割合を差し引いたものが、NPSになります。

「WOW(驚嘆)のサービス」を提供した人に、どのような褒賞を与えているのか、という質問に関してですが、とにかく、みんなで褒め称える、祝福する、伝説として語り伝える、ということが、文化として徹底されている会社だと思いました。お客様から賛辞の電話やメールをいただくと、その内容が、PROPS(プロップス)と呼ばれる社内メールで社員全員に送信されます。また、「ゾラー(ZOLLAR、ドル(DOLLAR)をもじったもの)」という、ザッポス社内使用限定の通貨があり、賞与としてそれが与えられることがありますが、これを貯めると、様々な「ザッポス・グッズ」と交換することができるそうです。いずれにせよ、社員満足はお金ではない、ということをよく表していると思いました。仲間に「あなたってすごい!」と認められること、「素晴らしい仕事をしたね」と賞賛され、感謝されることが、何にも勝る見返りなのだと思います。

Ub|XZ~i[ザッポスを訪ねるたびにいつも思うことなのですが、ザッポスというのは、「セレブレーション(お祝い)」の精神が、実によく浸透している会社です。ザッポスはTシャツ好きで、一日の売上記録を更新するたびに記念のオリジナルTシャツを作って社員に配布したりするのですが、歴代のTシャツが額に入れられて壁にずらりと飾られている廊下があったりします。各部門にもいろいろな受賞制度(アワード)があるようで、例えばCLTには、COW(Cultivator of WOW:驚嘆の開拓者)と呼ばれるアワードがあります。これは、毎月、人をWOW!と驚嘆させるような行いをした人を、CLT内部で投票して賞を与えるもので、WOW!の対象は顧客、同僚を問いません。皆さんご存知のように、英語のCOWは「牛」ですが、ザッポスのCLT部門を訪問すると、いろいろな人のデスクに、「牛」の形をした手作りのオブジェがよく飾られているのはそういったわけなのです。このように、「セレブレーション(お祝い)」のイベントをとても大切にしているのも、ザッポスらしいなと思います。

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