やる気を引き出す経営

日本の会社員の『やる気』は、世界最下位。

これは、アメリカの人事コンサルティング会社 Kenexa が、世界28カ国、約3万3,000人の会社員を対象に行った調査の結果です。

emjp
THE MANY CONTEXTS OF EMPLOYEE ENGAGEMENT A 2012/2013 KENEXA WORKTRENDS™ REPORT より

近年、この調査結果が日本では至るところで取り上げられていますが、仕事場での「やる気の低下」は実は日本だけではなく世界的な問題です。タワーズ・ワトソンという別の人事コンサルティング会社の調査によれば、世界30カ国で「会社にエンゲージ」している人は全体の35%だけという憂慮すべき結果が出ています。

「やる気の上位」優良企業に共通していること

ダイナ・サーチでは、ロサンゼルスを本拠として、一般的な経済市場の浮き沈みに左右されない飛躍的な成長を遂げる「優良企業」の研究を1980年代から行っています。そこで得られた知見を日本で紹介・導入の支援を行い、大手企業はじめ、日本の会社組織の活性化に活かすべく努めて参りました。

では「優良企業」とは何でしょうか?斬新なビジネス・モデル、突出した経営陣、豊かな資金力などを思い浮かべるでしょうか。しかし、長期的に安定した成長を遂げる(そして、各々の業界で「唯一無二」の地位を築いている)企業の例を数十年にもわたり分析し続けてきた結果、浮かび上がってきた共通項があります。

それは「企業文化」という言葉でした.

根底にあるのは価値観の共有

「あの会社の企業文化はいい」

「お客様を大切にする企業文化だ」

こんな言葉がよく聞かれます。

企業文化の大切さは昔から論じられてきました。別に目新しいことではありません。

しかし、「良い企業文化をつくろう」と言われても、実際のところ、どこから手をつけたらいいのかわからない、という人のほうが多いと思います。それは、「企業文化」というのが、なんだか空気のような漠然としたものだからです。

強烈な「企業文化」、アメリカのネット通販会社ザッポス

たとえば、強烈な「企業文化」をもっている会社として、アメリカのネット通販会社、ザッポスがあります。

リピート顧客率75%。お客様を虜にして離さない、型破りの顧客サービスで有名です。設立後10年足らずで、年商10億ドルを達成し、その後の3年間で2倍の20億ドル超に成長した驚異の会社でもあります。

(詳しくは弊社代表石塚しのぶの著書『ザッポスの奇跡』を参照ください)。

この会社の社内は一年中お祭りのようにカラフルです。昼下がりには「パレード」と称していろいろな衣装に身をまとった社員たちが社内を練り歩きます。年に一度、有志の社員が頭を刈りあうイベントなどもあります。

ザッポスのような成果を出したいから、ザッポスのような企業文化をつくりたい。ではどうするか?ザッポスのように社内をカラフルに飾りつけたり、パレードをやったり、奇抜なイベントを企画しても「ザッポスのような成果」が出るわけではありません。

「猿まね」という言葉があるように、ただ行動を真似ることに意味はありません。むしろ、行動の根底にある「価値観」に着目することが重要なのです。

ダイナ・サーチが提唱する「コア・バリュー経営™」

前述のザッポスをはじめとして、各々の市場で突出する飛躍企業を分析したところ、次のような共通項が浮き彫りになりました。

ダイナ・サーチでは、これらの企業の成功事例やベスト・プラクティスを蓄積し、「コア・バリュー経営」としてまとめました。コア・バリューの定義の仕方から、コア・バリューに基づく仕組みのつくりかた、運営手法までをコンサルティング・サービスやセミナー/ワークショップ・シリーズを通して、実践的なナレッジとして企業経営者やリーダーの皆様に提供しています。

「コア・バリュー経営™」を実践すると・・・

「コア・バリュー経営」を実践している企業には以下のような特徴があります。

  • 会社の使命感を共有する、やる気みなぎる職場
  • 共同体意識に溢れる、楽しく思いやりある職場
  • 「自分の行動が会社の成果や顧客満足に直結する」と各人がやりがいを感じる職場
  • 新しいアイデアが社内全体から聞かれ、日々イノベーションが起こる職場

職場の現状に対して、「やる気がない」、「自己中心だ」、「責任感に欠ける」、「退屈きわまりないムード」、「意見を言わない」、「萎縮している」、「創造性に欠ける」などといった不満を抱いている方も多いと思います。また、「どんなにお説教をしても、部下の心に響かない」という悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

トップ・ダウンの指令と厳格な規則により管理する、というのが旧来のやり方でしたが、リーダーシップの考え方を大転換し、価値観に基づく思考と行動の仕組みを創ることにより、自律性と創造性に溢れた生産性の高い組織をつくります。それが、コア・バリュー経営なのです。