iPadでディケンズを読む

昨年12月6日のこと、待ちに待ったグーグルの電子書籍サービスGoogle eBooksが開始されました。

もう一秒もムダにできないと、プレスリリースを読み終わってそうそうiPad用のアプリをダウンロード。

これで晴れて、私のiPadではAmazonのKindleと、アップルのiBooksと、GoogleのeBooksから本が買えるようになりました。

その夜、家に帰って早速Googleの販売サイトをブラウズ。でも、実はお目当ては、「買う」ことではなく、無料の本を見つけてダウンロードすることでした。

ケチな奴だと非難されても仕方ありませんが、私がここ何ヶ月もGoogle eBooksの開始を待ち望んでいた理由は、「世界の名作が無料でダウンロードできる」からだったのです。

Google eBooksで提供される300万タイトルという膨大な数の書籍の一部は、チャールズ・ディケンズやマーク・トウェインなどの古典的名作。それらは、なんと無料で提供されるのです。

子供の頃、文学少女だった私は、世界の古典という古典を片っ端から読み漁ったものです。当時、日本語の翻訳で読んだ作品を、大人になった今、原語である英語で読み直してみたいものだと常々思っていました。

ようやく、その夢がかなうのです。それも、お財布をすこしも傷めることもなく・・・。心を躍らせながら、「Best of the Free(無料ダウンロードのベスト・セレクション)」というコーナーをブラウズしました。

シャーロックホームズ      ipadで読むチャールズ・ディケンズの大いなる遺産

結局のところ、チャールズ・ディケンズの『Great Expectations(邦訳だと『大いなる遺産』ですね)』をダウンロードして読むことにしました。『大いなる遺産』は、チャールズ・ディケンズが自らの経験に基づいて書いた半自叙伝的小説と言われています。もう150年も前に書かれた小説なのに、巧みな人間描写と会話を通してグイグイと読者を引き込んでいくストーリーテリングの術には普遍的な魅力があり、古臭さを少しも感じさせません。

他に興味をひかれたものの中には、皆さんお馴染みのシャーロック・ホームズ・シリーズなどがありました。実は最近、娘がシャーロック・ホームズを読み始めたばかりなのですが、それに触発されて、私も読んでみようとかと思っているのです。しかし、私が電子機器で古典を読んでいる傍ら、娘が手にしているのは布製の美しい表紙に頑丈な装丁が施されている古風な本。夏休みに祖父の家から貰ってきたものなのですが、誰かから寄贈されたものらしく、1971年という日付と署名が入っています。

どんなに電子化が進んでも、細部に工夫を凝らしてつくられた重厚な本を贈る、そして贈られる喜びは廃れることはないのでは・・・と、大きな本に顔を埋めて読みふける娘の姿を眺めながら思ったのでした。