今ある価値観の「あぶりだし」: 戦略的企業文化シリーズ4

会社のビジョンや使命を全うするためには、それにふさわしい企業文化がなくてはなりません。そこで、自社の戦略的な企業文化を構築する第一歩は、自社の今ある文化の現状を見極めることです。

企業文化の根底にあるのは、会社の皆が共有している価値観です。そこで、社内の主要な価値観を「あぶりだす」活動をします。人間だれしも、「長所」と「短所」があるように、どんな会社にも「好ましい価値観」と「好ましくない価値観」があります。ここで、「好ましい価値観」というのは、会社のビジョンや使命の達成を推し進めるような価値観、「好ましくない価値観」とは、ビジョンや使命の達成の妨げになるような価値観のことです。

では、会社の中の「今ある価値観」をあぶりだす方法を考えてみます。

ひとつは社内で、「目に見えるもの」を観察することです。オフィス環境、壁の掲示、働く人の服装など、目に見えるものはすべて価値観の反映です。

例えば、ザッポスのオフィスは雑然としていると言ってもいいくらい様々なものや色が入り乱れています。各社員の机はそれぞれの個性にあふれていて、壁の掲示からは、「手作り感」がにじみ出ています。これらの要素から、ザッポスの「楽しさとちょっと変わったことを創造する」や「オープン・マインド」といった価値観をあぶりだすことができます。

もうひとつは、「創業者や経営者が掲げるビジョンや使命」を吟味することです。それらが社内にどれだけ浸透しているかは別問題として、ビジョンや使命には経営トップの想いが凝縮されており、多くの場合、社内の価値観に色濃く影響するものだからです。

また、もうひとつの方法として、働く人たちの声を聴いて、「社内の大多数によって共有されている暗黙の価値観」を特定する方法もあります。価値観というのは、無意識のうちに言動に反映されているため、働く人自身も即答できないことが多く、特定が難しいものです。アンケートやインタビューなど、ありとあらゆる手段を用いて、核心に迫る必要があります。

価値観のあぶりだし_dynasearch_02162016

いずれにせよ、コア・バリュー経営を志す皆さんは、会社ぐるみで、「企業文化」に対する感度を高める活動・練習を、ぜひやっていただきたいと思います。まず手始めに、皆さんの行きつけのお店や、付き合いのある取引先の会社などを思い浮かべてみてください。そして、それらのお店や会社について、「あの店・会社の文化は〇〇だ。なぜなら・・・」という文章をつくってみてください。なぜなら・・・の後には、先に述べたような「そのお店や会社で目に見えてわかること」の説明が入ります。ちょっとしたことですが、良い頭の運動になりますよ。