日本流スモール・ジャイアンツを、世界に発信

もう今年もあと半月となりました。

今年、思い出深かったことといえば、11月に開催したスモール・ジャイアンツ・ジャパンの決起集会。

アメリカに「スモール・ジャイアンツ」という異業種連盟団体があり、長年の念願がかないその日本支部のお世話を務めることになりましたが、2015年からの本格展開に向けて、皆さんへの「お披露目」を兼ねてささやかな会合を行ったのです。

全国からスモール・ジャイアンツが集結

「スモール・ジャイアンツ」とは、「大きくなること」ではなく、「偉大になること=従業員/顧客/地域共同体に対して大きな価値を生むこと」を目指す中小規模企業の団体です。その趣旨に賛同してくださる方(企業経営者の皆さん)がどれくらい存在するか、その感触をつかむための会合でもありました。

オフィス・サプライや家具のメーカーとして知られるプラス株式会社さんのショールームのセミナー室を無料で提供していただき、部屋から椅子が溢れんばかりの大変な盛況となったのです。

今回の会合では、私も皆さんにいろいろとお伝えしたいこともあったのですが、なにより、どんな会社さんがお集まりなのか、お互いに親交を深めていただくことを目的として、参加者の皆さんにひとりずつ自己紹介をしていただきました。

普遍性と独自性

製造業、フードサービス、テクノロジー・サービス、ネット通販、ビジネス・サービスなど・・・。実に様々な業界・業種の皆さんが集う中、共通して何度も聞かれた言葉は「社員が活き活きと働く会社」「社会貢献」など。

また、アメリカの優れた企業から学ぶとともに、日本のスモール・ジャイアンツの独自性、誇りについて世界に発信していきたい、など気概溢れる声も。

私自身も、「アメリカの最新」を日本企業の皆さんにお伝えして、経営や事業運営に役立てていただく、という仕事を過去30年間にわたってやってきましたが、その中で強く感じるのは、国を超えたユニバーサリティ(普遍性)と各国独自の良さという二面性です。

例えば、「人は皆幸せを求めている」というのは、国が違っても普遍的に存在する、ユニバーサルな願望。

そして、もうひとつは、例えば国によって、企業によって、「楽しさ」や「仲間意識」という概念の在り方の解釈の違い。ザッポスのような会社が表現するところの「楽しさ」は、自分の会社には合わない、日本の土壌には合わない、という感想を頻繁にいただくことがあります。

たしかに、ザッポスのような「どんちゃん騒ぎ」や「自由奔放さ」は、日本の多くの会社にとっては相容れないところがあるかもしれませんね。メディアというフィルターを通してみると、「社内パレード」や社員制作のミュージック・ビデオなど、どうしても「派手なもの」「奇抜なもの」がクローズアップされがちですが、ザッポスのような会社にも、地味だけれども社員の毎日の生活において欠かせない一部となり、会社の魂の糧となっているような取り組みもあるのです。

「アメリカ」というお国柄からなのか、「派手」や「奇抜」がどうしても注目を浴びやすい傾向にありますけれども、それに対して日本という国は、人に対する思いやりとか、「奥ゆかしいやさしさ」みたいなものが根底にあり、それが、世界に誇れるものではないかと思っています。

例えば長野の中央タクシーさんのような会社さんの話をアメリカの人たちにすると、皆さん、う~んと唸るほど深く感動してくださいます。オリンピック時の「特需」をあきらめ、地元のお年寄りや、身体の不自由な人たちを優先した話や、たった300メートルでもいやな顔ひとつせず車を走らせる話。それが、派手でもなんでもないけれども、日本らしい「奥ゆかしいやさしさ」であり、人の心を打つんですね。

毎回、日本に行くたびに、新しい会社さん、経営者の皆さんとお会いする機会をいただき、ほんとうに刺激を受けます。日本には、世界に誇れる素晴らしい会社がたくさんある。どんなに規模が小さくても、有名でなくても。そういう企業さんのお話を聞いていると、「日本の未来は明るいんじゃないか」、今後、日本から、「ものづくり」だけに限らず、もっと多種多様な面白いことが起こって、世界に影響を与えていくのではないか、と希望に満ちた想いにさせられます。「スモール・ジャイアンツ」を通して、日本のビジネス、ひいては国を盛り立てていきたいなあ、と改めて心に誓うきっかけをくれたイベントでした。