お部屋の装飾にもお出かけにも、困ったときにはダクト・テープ?

「ダクト・テープ」というものを皆さんはご存じですか。

「ダクト・テープ」とは第二次世界大戦中のアメリカで生まれた粘着テープ。弾薬ケースの防湿密封用に開発されたというだけあって粘着力は抜群です。戦後、配管工事などに用いられるようになったことから「ダクト(導管)テープ」と呼ばれるようになりました。

アメリカ人のダクト・テープ信仰はかなりのもので、街角でも時々バンパーにダクト・テープをベタベタ貼り付けた車を見かけます。郵便箱でも梯子でも、壊れたものにはダクト・テープを貼っておけば何とかなる、とばかりにダクト・テープが重宝されているのです。

しかしこのダクト・テープの活用法は、ものの修繕だけに留まりません。

ダクト・テープといえば普通銀色なんですが、近年、オフィス用品店に行くと実にカラフルなダクトテープがずらりと並んで陳列されているのを見かけます。

ただカラフルなばかりではなく、ペンギン柄、ペイズリー、羊柄、カップケーキ柄など柄ものも豊富。

また、大学やスポーツチーム、TV番組や映画とのタイアップによるダクト・テープもあります。

と、いうのも、アメリカの人たちは、ダクト・テープを修繕目的にだけではなく、お部屋の装飾をしたり、小物をつくったりなどといったクラフト・プロジェクトにも使うんですね!

例えばこれはダクト・テープでつくったお財布。ちょっと前ですが、アメリカの子供たちの間で大流行しました。

ダクト・テープを使って帽子やバッグを作ったり、洋服まで作っちゃう人もいるんです!

アメリカでは、学校の主催で、卒業を控えた高校生たちが参加するダンス・パーティ「プロム」が催されますが、毎年その季節になると、ダクト・テープで作ったプロム・ドレス・コンテストが開催されます。修繕用の粘着テープでできているなんて、到底、思えないですよね!

実はこのコンテスト、アメリカ最大のダクト・テープ・ブランド「ダック・テープ(DUCK TAPE)」が企画するプロモーション・イベントなんです。

一度夢中になったらやめられない、止まらない。ダクト・テープに魅せられた愛好家たちのために、「ダック・テープ・クラブ」というポイント・プログラムまで運営しています。

会員制のウェブサイトに自分の作品を投稿したり、コメントしたり、気に入った作品を「いいね!」したり、活動すればするほどポイントが貯まっていき、一定のポイントを貯めると会員限定賞品と交換することができます。

もとを正せば機能性重視の商品である「ダクト・テープ」。

いつのことか、どこかの誰かが、「ダクト・テープで○○を作ったら、面白いんじゃない?」と思いつきで始めたはずのダクト・テープ・クラフト。それを巡る生活者の情熱を応援して、様々な工作のアイディアや作品発表の場を提供することによって、ダクト・テープという商品の可能性を開拓してきたダック・テープ・ブランド。企業が顧客との共創により市場を広げている、またとない成功例のひとつですね。