「安全」を買うアメリカ人

しばらく前のことだが、アメリカのトークショーで、「水の質」に関する本の著者へのインタビューがあり、思わず見入ってしまった。その方によると、アメリカのほとんどの水道水は、ボトルウォーターと質がかわらないのだという。では、なぜアメリカ人はボトルウォーターを買うのか。ちなみに、アメリカにおけるボトルウォーター市場は現在10ビリオン・ドル(12兆円、$1=120)を超えるという。大抵のアメリカの家庭やオフィスには、5ガロン(約19リットル)入りのボトルウォーターが常備してある。

ワタシは日本出張の際によくコンビニに立ち寄るが、陳列されたたくさんのボトルウォーターを見て、日本でも生活の中にボトルウォーターが浸透しているのだなと感じる。ワタシには日本の水はどこでも美味しく感じるし、あえてボトルウォーターを買う必要もないと思ったりもするのだが、それも利便性や安全性へのこだわりなのだろう。特にアメリカでは、ワタシの住んでいる地域だけでも、過去に何度か「○○地域の水は、細菌に汚染されています。本日は飲まないでください。」という緊急警報があった記憶がある。さらに、911以来、テロリストの恐怖にもさらされている。そのようなわけで、水道水には常になんとなく恐怖がつきまとうのだ。だとすると、我々はボトルウォーターという「安全」を買っているようなものだ。それならば、地震などの災害に備え、踏んでも蹴っても壊れないボトルに入った飲料水とか、それを飲んでいれば1週間くらい生きていられるような飲料水もニーズがあるかもしれない。今後は、消費者の安全性や災害時に備えるためのニーズを満たすボトルウォーターが誕生していくことになるだろう。