戦略的企業文化の構築は組織の民主化: 戦略的企業文化シリーズ1

2008年ごろから、「企業文化」の研究に重点的に取り組んでいますが、アメリカのビジネス界の状況を観察していると、昨年、そして今年は、いよいよ「企業文化元年」だなという気がしています。「コア・バリュー経営」とは呼んでいないまでも、特にネット関連のスタートアップの会社などでは、「コア・バリュー」をもち、それを軸に会社を経営・運営していくことが当たり前のようになっています。

文化はどこの企業(集団)にもあるものですが、自然発生的に「できた」文化ではなく、意図的に「つくる」文化のことを、「戦略的企業文化」と呼んでいます。「戦略的企業文化」は、今後、企業が生き残っていくうえでなくてはならないものです。今日から、何回かにわけて、「戦略的企業文化」について私が考えたこと、思うことを書き綴っていきたいと思っています。一回目の今日は、「戦略的企業文化の構築は組織の民主化」ということです。

企業文化とは、組織内の大多数によって共有され、当然視されている価値観、信念、あり方で、企業の「個性」です。ですから、どんなに素晴らしい「理念」や使命を社長さんが掲げても、会社の大多数の人たちと共有し、それらを組織に浸透させることができなければ意味はありません。戦略的な企業文化を構築するためには、企業組織を民主化し、「やらせる」のではなく、「みんなでやる」、あるいは、社員が自発的に「やりたい」「参加したい」と思うような活動をしなくてはなりません。

企業文化とは_dyna-search

社員を「お触れに従わせる」のではなく、使命や価値観に納得し、賛同してもらうことができれば、会社の中ががらりと変わってきます。社員全員が同じ価値観を共有し、自分の意思で会社の運営に参加するようになると、社員の中に「私の会社」という意識が高まり、働く人はより大きな熱意と責任感をもって会社の課題に取り組むようになります。

「戦略的な企業文化」は、やる気にあふれる職場と生産性の高い組織を築いていくうえでのまさに土台となるものです。