企業はこうあるべきを語る本「ゼロ・トゥ・ワン」

シリコン・バレーで今日、最もパワフルな投資家のひとりであるピーター・ティールの本、『ゼロ・トゥ・ワン』は群を抜く良著なので、ぜひとも、多くの人に読んでいただきたく思い、ご紹介する。

ゼロ・トゥ・ワン、ピーター・ティール

「・・・中身のない福利厚生には意味がない。インテリアデザイナーを雇ってオフィスを飾ったり、人事コンサルタントを雇って社内ポリシーを作り直したり、ブランディング専門家を雇って会社のキャッチフレーズを作っても、意義のあることなんて何も達成できない。「企業文化」は企業そのものから離れては存在しない。企業にとって文化とは持つものじゃない。企業そのものが文化だ。スタートアップとは使命を共有する人びとの集まりであって、良い企業文化とはその姿を反映しているにすぎない。」

まさに我が意を得たり。昨今のアメリカでは、シリコンバレーのテック企業を中心に、「ベネフィット戦争(どこの会社の福利厚生が最も贅沢で、奇抜かを競いあう競争)」が巻き起こり、あげくの果てにはよりオーソドックスな業界の企業までもが、テック企業の豪華絢爛なオフィスインテリアを真似たり・・・というようなことが起こっているが、それをまったくの正論で真っ向から批判してくれた。もとより、真似できるものに意味なんてあるわけない。企業文化はそこに働く人の「魂」や「心」の問題。真似できないからこそ価値がある。