「社員こそがブランド」-コア・バリュー経営セミナー&ワークショップからのご報告

11月14日(金)、東京にて開催されたコア・バリュー経営セミナー&ワークショップ。そこから得た私なりの気づきの第一弾を、先週、ブログにて(コア・バリュー経営導入成功のこつは「社員が主役」)ご報告しました。今日はその第二弾です。

社員こそがブランドだ!

「社員が主役」という先週のテーマに関連して、今日取り上げたいのは、「社員こそがブランド」ということです。これは、先日のイベントの際に、コア・バリュー経営実践企業のひとつとして事例を話してくださったグッドライフOSさん(以下敬称略)のコア・バリューのひとつでもあります。


株式会社グッドライフOS 代表取締役社長 大知昌幸氏

イベントの際にご登壇くださった代表取締役の大知さんが、「コア・バリューの中でも最も重要と考えているのは、『社員こそがブランド』ということです」とおっしゃっていましたが、グッドライフOSのホームページを見ると、いかに同社がこのコア・バリューの体現に戦略的かつ意図的に取り組んでいるかがよくわかります。私も常々、「ピープル・ブランディング」の重要性についてお話してきましたが、まさしくその実践といえます。

グッドライフOSは10月中旬に本社オフィスを移転されたばかりですが、移転前の7月に大知さんにお会いする機会があった時に、「仕事の場を『舞台』ととらえて、社員全員が『アクター、アクトレス』であろう」をコンセプトにしているのだと聞きました。

必見!グッドライフOSのグーグルインドアビュー

今、ホームページに行くと、サイトの上のほうに(画面を開いてすぐに出てくるあたりに)、新オフィスのグーグルインドアビューがあります。

大知さんも講演の時に、「ぜひ見てみてください」とおっしゃっていましたが、かなりさりげなく力の入っているインドアビューで、お勧めです。

インドアビューの撮影用の演出だと思うのですが(大知さんに聞いて確かめたわけではないので、あくまで私の想像です)、オフィス内の随所に、「あれ?」と思うような光景が出てきます。

黄色い帽子に肩掛けバッグの「幼稚園ルック」の人が出てきたり(注:明らかに大人の仮装です)、牛や馬のお面をかぶった人が会議をしていたり・・・。オフィスの内装や掲示もカラフルで活気があって素敵ですが、何より「人」を見てしまいます。「この会社、タダモノではないな(笑)」という雰囲気が漂っていて、グッドライフOSのユニークさをとても良く表現しています。

企業文化「発信」の重要性

グッドライフOSでは、「みんながみんなを好きになる日」をテーマに、年に二回、全社員が集まる総会を開いています。経営方針を発表したり、会社のコア・バリューを体現している人を「MVP」として表彰したりしますが、その際に内定式も併せて行っているそうなんですね。会社の総会というと「閉じられた」イメージがありますが、このように内定した人を招待して、会社の文化を体感してもらう。また「内定式」というとかしこまったイメージがあるんですが、新入社員を迎える先輩社員たちも文字通り「普段着」で、新入社員の人たちとしては、会社で勤務を始める前から職場の雰囲気を掴んで、そこに溶け込むことができる、とても良い機会なのではないかと思います。


これは、今年初めの会社説明会で流した会社紹介ビデオだと思いますが、入社1年目の社員さんの一日を追っています。職場の雰囲気もそうですが、グッドライフOSが「こんな人を求めている」という理想の社員像もはっきり伝わってきます。このような「発信」がとてもうまい会社だと思います。

イベントの際に一緒に登壇していただいたVoyage Group、CCOの青柳さんも仰っていましたが、企業文化を語る際に「浸透」ももちろん重要だけれども、「発信」も大事。私が講演をする際には、企業文化の取り組みにこれから着手しようとか、着手したばかりの企業さんを対象にお話をすることが多いので、「浸透」の部分に焦点を置くことが多いのですが、企業文化が「浸透」してきたのちには、それを意図的に「発信」していくことが必要不可欠であると思います。今日のように「透明性の高い」、つまり、会社の中が社外に対して否が応でも「丸見え」になってしまう市場においては、企業文化を発信していくことが最強のブランディングになりますし、なにより、社外の人に「こういう会社」として認知されることによって、社員さんの会社に対する誇りや愛着が育つという相乗効果もあります。

グッドライフOSは、「企業を応援して日本を元気にする」を事業ビジョンに掲げ、OA機器の提案から販促サービス/ツールの提供に至るまで、企業を支援する様々なサービスを提供しています。そうした事業の性質から、多くの営業スタッフを抱える会社ですから、社員さんとお客さんとの触れ合いが、何よりも直接的な「ブランド体験」の場となることは、想像に難くないでしょう。グッドライフOSに限らず、このブログを読んでいらっしゃる多くの経営者の皆さんにとって、「社員が最も強力かつ効果的なブランド媒体である」というのが切実な現実であると思います。

会社のコア・パーパス(存在意義)、コア・バリュー(価値観)を定めて、それを軸に社員の心をまとめ、会社としての考え方や行動に一貫性を持たせる「コア・バリュー経営」。営業職やカスタマー・サービスという「表」に出る人材ばかりではなく、舞台裏で仕事をしている人たちも含めて、会社にとって、「社員」が紛れもなく最も重要な原動力となった時代において、「コア・バリュー経営」がいかにその効果を発揮するかを、これら二社の事例が実証してくれます。