同僚から見たトニー・シェイってどんな人?

(2011. 2. 14)

ザッポス社CEOトニー・シェイの著書『Delivering Happiness(邦題:ザッポス伝説)』の中で、ケンタッキーの倉庫立ち上げの際のヒーローとして登場するキースに、新年早々会ってきました。そのインタビュー・シリーズの今日は三回目です。

インタビューを受けるザッポス社のキースもうかれこれ15年くらい、トニー・シェイを知っているというキースに、「トニーってどんな人?」と聞いてみました。

まず、「客観的に見たトニーの人間像」について、キースはこう語ってくれました。

「一度でもトニーに会えばわかることですが、トニーは物静かで、謙虚で・・・、それでいておそろしく頭の良い人です。彼の思いつくアイデアには、いつもビックリさせられます。どこからそんな発想が出てくるのだろうと・・・。会話をしていても、いつも新しい視点を投げかけて、物事を新しい目で見る機会をくれるんです。それがトニーです」

とてもシャイな人だという印象がありますが・・・とふると、こんな答えが返ってきました。

「『シャイ』といえばそうなのですが、ここ二、三年の間にトニーも随分変わりました。いろいろなところに呼ばれてスピーチをしていますが、私が出会った頃のトニーからは想像もつかないことです。でも、その『決意の固さ』もトニーならではだと思いますね。何か自分が不得手なことを克服したいと思ったら、言い訳をせずにとにかく挑戦する。そして成し遂げてしまう。そこが、私がトニーを尊敬する点でもあります」

私も何回もトニーにインタビューし、また、もちろん彼の著書も読みましたが、そこから受ける印象は、「トニーはいつも良き友人たちに支えられてきた」ということです。裏返していえば、良い友人をひきつける「カリスマ」みたいなものが彼には備わっているということか、ときいてみました。

「確かに、カリスマ的と呼べるのかなとも思います。彼の周りには、彼と一緒に何かをやりたい人が集まってくるんです。・・・でも、それだけではない。トニーはとにかく『良い友人』なんです。友達のためだったら何だってやる。困ったことがあったら何としてでも助けてくれる。・・・私にとって、トニーはまず『良き友人』です。友達をがっかりさせたくないという気持ちが私の原動力になっています」

月に一度カフェテリアで社員のために昼食を給仕するザッポスCEOトニー・シェイ

社員の昼食をよそうトニー

日本語で言うと、「男気」みたいなものなのかな・・・と思いました。

最後に、創業期からザッポスと歩みをともにしてきたキースに、「今と昔のザッポス」について聞いてみました。

「やはり、人数が多くなってきたということもあって、昔みたいに仕事の後に気軽に飲みに行くとかいうことは、あまりないですね・・・。トニーもオフィスを留守にすることが多いですし」

そこからは、少し淋しそうな表情も伺えました。

「人数が多くなって、とにかく『規則』が多くなった、とも感じます。やれ労務法だの・・・と、私のような古参者にしてみると、ちょっと面倒臭いですね。昔は規則なんていらなかった。やるべきことがあれば、17時間でもぶっ通しで働く、ということが皆普通でした。でも、今はそういうわけにはいかない・・・」

Ub|XZ~i[キースは、「友達に対する忠誠心・愛情」が言葉の端々から伺える、とても好感のもてる人でした。現在は、市庁舎への本社移転プロジェクトを手がけているということで、古くからいる他のザッポニアン同様、話をしていて仕事にかける心意気やプライドを感じることができました。

しかし、その一方で、「古き良き時代へのノスタルジア」みたいなものが混在することも否めません。2010年10月にザッポス本社で開催したセミナー『ザッポス・エクスペリエンス・セミナー』でも思ったことですが、社員が2,000人、そして3,000人へと膨らむにつれて、さなぎから蝶へと脱皮する過程でのザッポスなりの苦しみがあるのかと考えさせられました。

ザッポス関連記事集へ

[PR]米国企業の企業文化・取り組みの事例にご興味のある方は、こちらへ→『未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~』『ザッポスの奇跡 改訂版』

【関連記事】