資金に乏しい中小企業には、ザッポス流サービスの実践は無理?

(2010. 12. 7)

日本出張時に東京で行った講演・セミナーのご報告第四弾です。

ザッポス・エクスペリエンス・セミナー・ジャパン 石塚しのぶ

『ザッポスの奇跡』を読んでくださった方から、メールをいただくことがあります。多くは、中小企業の経営者の方や、ビジネスを始めたばかりの起業家の方もいます。「顧客第一主義のザッポスの姿勢は素晴らしいと思います。でも、資金に乏しい中小企業には、ザッポス流サービスの実践は無理ではないですか・・・?」というコメントをよく聞きます。

ビジネスが軌道に乗り、経営に余裕が出るまで、必要最小限の顧客サービスは提供するけれども、それ以上は無理。余裕が出てから、お客様を「あっ」と言わせるサービスを提供するんだ、という考え方です。・・・でも、そんなことで、お客様に「特別」と感じてもらえる存在になることができるのでしょうか。

これに対して、ザッポスの考え方は、「顧客サービスはコストではなく、投資である」という考え方です。「カスタマー・フォー・ライフ」。つまり、一生涯お付き合いできる関係をつくるための投資として、顧客サービスがあるのです。

ザッポス・エクスペリエンス・セミナー・ジャパン 懇親会の風景

すべては、経営者のマインドセットの問題なのです。「コスト」と考えれば、すべてにおいて、「削減する」、「切り詰める」という考え方になります。それを、「投資」というふうに考え方を転換すれば、目指すものは、「最大化」や「有効活用」ということになります。

Ub|XZ~i[だから、もっと言えば、「顧客サービスにどのくらいコストをかければ、妥当なのでしょうか」という質問は無意味なものです。「投資」する時に重要なのは、どのくらいの期間でどのくらいのリターンを回収するか、ということであり、「どのくらいが妥当か」というのは、経営者が決めることだからです。そして、それは、ビジネスのポジショニングの問題であり、戦略的フォーカスの問題であり、経営において最も真剣に取り組まれるべき意思決定のひとつだと思います。

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