商品カタログもカルチャーを表現する場:ザッポスの商品解説ビデオが5万本を突破!

(2010. 11. 11)

ザッポスのウェブサイト(zappos.com)で商品カタログを閲覧すると、ものによっては、ビデオカメラの形をしたアイコンがついているものがあります。そのアイコンをクリックすると、「商品解説ビデオ」の再生が始まります。

ネットという媒体の制約を超えてショッピングを簡単で、かつ楽しいものにするために、ザッポスのサイトには様々な工夫が施されています。色、サイズ、幅などは勿論のこと、顧客による商品レビュー、五段階評価、そして、7つの角度から撮影された写真・・・(このあたりは、『ザッポスの奇跡』でも説明しているとおりですね)。ザッポスの所有する靴の写真データベースは世界最大のもので、過去にはFBI(米国連邦捜査局)から捜査のために使用させて欲しいという依頼があったとか。そして、「WOW(驚嘆)を届ける」ことを使命とするザッポスは、なんとFBIのために靴のデータベースを開発してあげたそうです。

この「商品解説ビデオ」も、お客さんがより簡単に、より楽しみながらショッピングができるように、という配慮から始められたものなのですが、プロのモデルやアクターではなく、ザッポスの社員が出演し商品の使い方や特徴を解説します。「商品解説ビデオ」がある商品を、ビデオがない商品に比べると、セールス・コンバージョン率(閲覧から発注に至る率)が6%から30%高いという数値が報道されたのは昨年12月のこと。当時はサイト上に約8,000本のビデオが存在しましたが、「2010年にはその数を50,000本に」と大胆な目標を掲げていました。

つい先日、11月4日のことですが、ついに、ザッポスで50,000本目の商品解説ビデオがサイトにアップロードされました(公式ブログでの担当者によるビデオコメント)。昨年末の8,000本から、一年間で42,000本増えたわけですから、毎日100本以上をアップロードし続けた計算になります。その背景には、ラスベガスの本社とケンタッキーの物流センターに勤務する、あわせて50名近くの「ビデオ制作チーム」の姿があります。

自前のビデオ制作チームを抱え、社員自らがアクターになりかわって出演する理由は、ビデオの目的が「ザッポスのカルチャーを表現すること」、そして、「顧客とパーソナル、かつエモーショナル」なつながりを築くためであるからだといいます。

Ub|XZ~i[ただ、「商品カタログにビデオを載せる」という感覚ではなく、お客さんからの「動画レスポンス」(ザッポスがアップロードした商品解説ビデオへのコメントとして顧客が自作の動画をアップロードする)を受け付けたり、また、動画の中の商品をクリックすると商品の詳細ページに飛ぶ・・・などといった仕掛けを設けたり・・・。遊び心いっぱいなのもザッポスならではです。

顧客の「個」と社員の「個」がますます力をつけている「ソーシャルの時代」には、「顧客参加型×社員参加型」のプラットフォームをつくることが、ネット、リアルを問わずこれからの流通業が目指すべき姿なのだと感じます。

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