(2009年8月13日)

購入金額や利用回数によってポイントがたまっていき、蓄積されたポイントに応じて何らかの特典が顧客に与えられるポイントサービスは、日本に数多とある。それはアメリカでも同様で、ある調査によると、アメリカ人は1世帯あたりなんと12種のポイントサービスに加入しているという。

そして悪いことに、これらのポイントサービスの間で差別化はほとんどない。ポイントサービスの本来の狙いである、顧客ロイヤルティ育成にもつながっていない。

これはアメリカのスーパーマーケット業界が最たる例である。アメリカのスーパーはどこもポイントサービスを運営しているが、その多くがレジで清算時にポイントカードを提示すると、値引き価格で買える、というそれだけの話だ。消費者は皆、損をするのが嫌なばかりにポイントサービスに加入している。そこには、ロイヤルティという感覚はない。私自身も含めて、ほとんどのアメリカ人は財布の中にスーパーのものだけでも3、4種のカードを携帯していることだろう。

猫も杓子もポイントサービス、という状況の中で競合に差をつけるためには、「値引き」を超えた価値提案や、顧客の心を掴む工夫が必要だ。

アメリカのポイントサービスでこれを達成しているものに、ユープロミスがある。ユープロミスは、「買い物をしながらお金が貯まる」と、「子供の学資預金」という二つのコンセプトを結びつけた多業種連携型のポイントサービスである。全米およそ2万1,000軒のスーパーおよびドラッグストア、8,000 軒のレストラン、600軒のネット通販会社、その他各種サービス業者を加盟企業にもつ。

その仕組みは、加盟店で買い物をすると、購入額の定率がキャッシュポイントとして還元され、消費者はそれを子供の学資預金口座に貯蓄することができるというもの。個人のクレジットカードか、スーパー各社が発行しているポイントカードをユープロミスに登録しておくと、それを通じてユープロミスが購買を追跡し、加盟店舗や商品を購入した際に、その購入額の一部が還元されるのだ。

子供の学資の工面は、世界各国どの国の親にとっても最大の関心事であり、悩み事である。2000年に発足されたユープロミスは、今日、1,000万人近くの会員をもつという。頭文字のUに学帽をあしらったロゴを目にしない日はないほど、米国消費者にとって遍在的な存在になっている。

単なるディスカウントやキャッシュバックではなく、子供の教育という、多くの人の人生における深刻な課題に的を絞り、その悩みを解決することを価値提案としたことに、ユープロミスの鋭さがある。「顧客ロイヤルティの育成」どころか、管理費が嵩むばかりで赤字を出しているポイントサービスも多いと聞く。「あの店で買うことに意義がある」と顧客に思わせる新しい仕組みを求めて、従来的なポイントサービスのあり方を見直す時期が来ているようだ。

ただ利己的に自社の利益を追求するのではなく、社会や共同体に対して価値を創造する企業が、「良き企業市民」として消費者に支持されている中、ユープロミスは、こういった時代の要求にも敏感に応える心憎いプログラムだといえる。

参考サイト
ユープロミス:http://www.upromise.com

*この記事は、日本経営合理化協会AV局、経営コラム 社長のネット情報局に掲載されたものです。



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